コロナで変わる私たちの「食」 新たな文化は現場から

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栗田優美 井上道夫 小林未来
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 コロナ禍は日々の食事にも変化をもたらした。緊急事態宣言の解除後も、感染防止への配慮が求められる生活は続く。食の現場では、新たな日常へ向けた変化が始まっている。

一気に変革求められた飲食業界

 政府の専門家会議が示した「新しい生活様式」は、食事の仕方も見直すことを迫った。外出や営業の自粛で打撃を受けた飲食店はさらなる変化を求められた。

 横浜市のワインバーは、3月下旬から席数を減らして営業を続けつつ、テイクアウト(持ち帰り)を始めた。それでも4月の売り上げは前年より約3割減った。オーナーシェフの仁田暢洋(にったのぶひろ)さん(46)は、今後も人数の多いグループは断らざるをえないと考える。ただ「レストランでの時間は貴重だというお客様も多く、飲食店はなくならない」と前を向く。

 飲食店の予約・顧客管理システムを手がけるテーブルチェック(東京)によると、4月の平均予約件数は東京や京都で前年より9割近く減った。

 同社は4月、テイクアウト・宅配を始める店向けに、インターネットで注文を受けられる仕組みを無料で提供。1カ月で500店以上が申し込んだ。SNS「インスタグラム」と連携し、店の投稿を見た人が簡単に注文できるようにもした。広報担当の仁木有花さん(35)は「飲食業界はIT化が遅れている部分があったが、一気に変革を迫られた。今後はSNSでどれだけファンをつかめるかの勝負になる」とみる。

 料理の通信販売を始めた店もある。佐賀県武雄市イタリア料理店は、インターネットで注文を受け、ラザニアやケーキを冷凍して宅配便で送るオンラインショップを設けた。

 オーナーの鳥谷憲樹(とりやかずき)さん(37)は一時は店を休業し、雇用調整助成金を受け取る判断をした。しかし自治体の支援もあり、テイクアウトを開始。その後、通販も始めた。冷凍の状態で販売するのは衛生面を考えてのことでもあるが、家で過ごす時間が増えている中、「昼でも夜でも好きな時に食べられる」と好評という。

食品ロス、客話しやすく メリットも

 佐賀県は5月14日に緊急事態宣言が解除されたが、鳥谷さんは慎重だ。通常営業を再開しても売り上げは以前の6割ほどと見込む。「続けるのもやめるのも険しい道だが、4割をまかなえるビジネスモデルを見つけ、走り続けるしかない」

 発見もあった。新しいお客さ…

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